こんにちは。
今日は、帯同する選択、しない選択について綴っていきたいと思います。
妻子の帯同について、良い・悪いや正解・不正解はありません。
ゆえに、多くの駐妻たちが「この判断でよかったのだろうか」「もう一方の選択肢、(帯同する、あるいは帯同しない)を選んでいた方が良かったのではないか」と、考えてしまうことがあります。
家族と話し合い、納得した上で、あるいはやむを得ずとはいえ、覚悟を決め、渡航したにもかかわらず、悩み、葛藤する方々に多く出会いました。
この記事では、私が実際に、夫のシンガポール駐在に帯同し、感じたこと・考えたこと、周囲の人と話して思ったことなどをシェアしたいと思います。
この記事をもとに、少しでも多くの方が、駐在人生について考えたり、見つめ直したりするきっかけの一助となりましたら幸いです。
まず、最初に私のことをお話します。
私の夫は全国転勤あり、海外駐在ありの会社に勤めています。とはいっても、必ずしも全員が全員というわけではありません。しかし、私は夫と結婚を決めた当初から、「転勤や駐在の可能性がある」ということを、覚悟していました。というより、「どこに行っても人生を楽しめる」という性格が、自分の根底にあると常々思っていました。
そんなある日、駐在の辞令は本当に突然やってきました。こんなに急なのかと驚いたことを覚えています。平凡な毎日にふっと降りてきた「駐在」の二文字。
帰宅した夫が最初に発したのは、

で、どうする?行く?
でした。この時の私の返事は、

そりゃ行くでしょー!
転勤や駐在を覚悟していた私にとって、帯同しないという選択肢は、はなからありませんでした。むしろ、子供ができたのち、新卒で入社した会社を退職して、専業主婦だったため、当然のことと捉えていました。
しかし、今自分が過去の自分に言葉をかけるとしたら、「帯同しない選択肢もあるよ」ということです。これは決して帯同が失敗だったということではありません。「夫がシンガポール、妻子が日本に残る」というもう一方の選択肢を見た上で、選択するべきだと過去の自分に助言したいのです。
実際、シンガポールに住居を移し、充実した日々を送り、帯同したことは間違っていなかったと思っています。そして私だけでなく、子供が海外に居住する経験を積めたことは、もちろん大変なこともありますが、それ以上に価値があったと感じています。
それでも、駐在生活は本当にいろいろなことがあります。メンタル面が揺らぐ時ももちろんあります。夫にただ乗りする形でよその国に住み、のんびりしていていいのだろうか、そんな疑問がふと湧く時もあります。また、日本に残してきた高齢の家族が心配になったり、友人に会いたくなっても、簡単には帰国出来ないという現実に直面する時もあります。元から分かりきっていたことでも、悩み・葛藤するのが人間です。
そんな時に、ありとあらゆる選択肢に対し、向き合って決断したのと、そうでないのとでは、自分の心の持ちようが違ってくると今更ながらに思います。
次に、私以外の方々について。ここからは私がこれまで出会った方々と話して、考えたり、感じたことについてシェアしたいと思います。
私と同じく、日本にいた時から専業主婦であった場合、「帯同以外の選択肢なんかなかったよね」「考えすらしなかった」というのがほとんどの声です。日本人の感覚として、「家族はみんな一緒」という感覚が根強いのかもしれません。このタイプですと、場所が変われども、ある程度は時間の使い方や専業主婦のライフスタイルを知っているため、帯同そのものに関して悩む方は少ないような気がします。(「仕事もしてなかったし。」という諦めもあるかもしれませんが。)
一方で、あまり前向きではなかったけれど、帯同したというパターンも。こちらは日本にいた際に、働いていた妻が仕事を辞めたというご家庭が多い印象です。
特にこの方達の中には「やむを得ず、帯同を選んだ」「自分の気持ちではなく、配偶者の希望や子供への影響を優先した」と言う声が多く、帯同先で充実感を得られない場合、相当なストレスや孤独感、喪失感を感じやすいです。そして行き着くところが、「帯同せずに、それぞれの国で仕事をする選択肢もあったんじゃないか」というものです。
ここで大切なことは、両方の選択肢について考えたかという点です。ある日突然、降って湧いた辞令に対して、自分や仕事と向き合い、考えに考えて決断した方は、どちらかというと、「まあ人生の糧にすればいいや。」「今更何を言っても意味ないし、渡航して新しいこと始めた」など、渡航したことをとにかくポジティブに捉えている、そして渡航を実りあるものにしようと考えている印象です。
逆に、帯同について疑問や不安、不満を抱きつつも、日々の忙しさや夫の意見に流されてしまった場合、やっぱりあの時…と後悔が残ることになります。結果的に「良かった」と思える駐在生活になれば、何も問題もありません。しかし、ここで先にあげたストレスや孤独感、喪失感を感じてしまうと、夫婦の関係にも影響してきますし、精神衛生上良くないことは明らかです。
考えられうる選択肢に向き合い、自分がどこで何をしている時が幸せなのか、どの選択をしたら、自分の生活がどう変わるのか、わからないなりにもシュミレーションは必要です。そしてもちろん配偶者に自分の気持ちを理解してもらう努力や意見を求めることも大切だと、考えています。
居住地を海外に移すということは、よほどのことを除き、多くの方にとって「やっぱり帰る」と簡単に言えることではありません。会社の規定や子供の学校などもありますし、肉体的、精神的、金銭的に負荷がかかります。
人生100年時代と言われる中で考えれば、短い期間かもしれませんが、それでも大事な人生の一部です。
1年住み、感じたことは、「日本に帰りたい」「仕事したいのに出来ない」など喪失感や無力感にさいなまれている人がこれほどいるんだと、思ったのが素直な気持ちです。
面倒なことの様ですが、あまり深く考えなかった私からすると、これから帯同する方には是非考えてみて頂きたいなと思っています。
駐在中の方、これから帯同し、駐在生活を始められる方の毎日が、豊かな日々になりますように。
気になることがございましたら、お答えできる範囲でお答え致します。
ご質問やコメント、お待ちしております。
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